
2010年08月20日 (金) | 編集 |
天白に住むAさん夫婦は10年前からTNR活動をしている。10年間地域猫の面倒を見ながら何匹も見送った。今では3匹が残るのみ。この8月13日その3匹の内の1匹が天国に逝ってしまった。
普通外猫は死んでゆく姿を人目にさらさないが、ゴマは違った。なぜなら、Aさん夫婦のゴマへの強い気持ちがゴマに伝わり、ゴマは最後の力を振り絞ってAさんの前に出てきたのだと思う。ありがとうと言いたかったのだと思う。
8年前まだゴマが子猫だったころゴマはAさん夫婦の前に現れた。ゴマはびびりな性格で、決まった時間に決まった場所でAさんから8年間餌を貰い続けた。人に触らせない猫だった。
ところが最近になってゴマが現れなくなった。近所で飼われていた大きな雄猫が家を脱走し、ゴマのテリトリーをウロウロしはじめたのが事の発端だった。
飼い主は戻ろうとしない自分の猫を積極的に迎えに来る様子もなかった。去勢こそされていた猫だが、ゴマはこの大きな猫から執拗な攻撃を受けたようだ。頭や体に傷を負わされ、その猫が怖くて餌場に来れなくなっていった。Aさんは間近で攻撃されているゴマを見た。早朝は他の猫たちとも喧嘩をし、喧嘩の鳴き声がマンションの上まで聞こえた。
Aさんは弱ってゆくゴマを保護しようと決めたが、ゴマはもともと人に触らせない猫だったので、保護が簡単にできない。
おまけに衰弱し始めていて一層神経質になっていてAさんの側に来ることもなくなっていた。
毎日餌場に来ていたゴマは3日に1回、1週間に1回と「ニャンニャン」とビクビク小声で鳴きながらAさんに自分の居場所を教えた。会うたびにゴマがやつれてゆく様子が伺えたがAさんは手の施しようがなかった。最後にゴマを見たとき、ゴマは体がすっかりしぼんでしまっていた。
大きな缶詰を一缶ガツガツ平らげた。Aさん夫婦は、それを最後にぴたりとゴマにあうことができなくなった。
プロテクションケージをしかけたが、ゴマではなく、狸が入ってしまったり、この暑さの中、毎日苦戦続きだった。
私もゴマ捜しに少しだけ付き合ったが、Aさんはゴマのことで普通なら決して口を利かないご近所と口を利いた。思った以上に協力的な人が多くありがたかった。TNRの話と、Aさんの地域猫活動についても短い説明をした。ゴマを介していろんな人と知り合いになった。
すでにゴマの捕獲作戦は1ヶ月以上経過していたと思う。
13日の朝、今日はお盆だけどゴマどうしたかなぁとボーっと考えているとAさんからメールが届いた。
「昨夜12時過ぎにゴマが倒れているのを発見しました。すぐ病院へ運んだけど駄目だった。発見時、ゴマと呼ぶと
ゴマは口を動かし鳴こうとしていた。」ゴマは衰弱しきっていて、いつものニャンニャンが声にならなかったのだとわかった。だから私達も居場所がわからなかった。
外で暮らす猫の死に目にあうのは、猫にすいか割りをさせるくらいの確立だ。つまり、ぺっちゃんこになって轢かれていれば別だけど、大抵は轢かれても、力を振り絞って茂みに隠れる。何回もゴマ探しのために階段を行ったりきたりしながら、Aさんは無力感と喪失感に押しつぶされそうになっていたと思う。
ゴマを見つける前日Aさん夫婦は同じ夢を見たらしい。ゴマが元気にマンションの側を歩いている夢だったそうだ。
そこまで必死に自分のことを捜し出そうとしているAさん夫婦の気持ちがゴマに伝わらないはずがない。
亡くなって初めてゴマを間近に見た。かわいいキジトラ模様のゴマ。ゆりや菊や猫じゃらしを箱に詰めてゴマを見送った。堅くなったゴマを見ながらこの一匹の猫がどれだけAさんを頼りに生きてきたのだろうと思うと目頭が熱くなった。
私達のやってることが生き物と関係ない活動だといいと思うときがある。植樹や、緑化や廃村巡りだったらいいと思うときがある。生き物絡みは時々すごくしんどい。
ゴマは情の深い人に会えてラッキーな猫だったと思う。
ゴマ、安らかに眠ってね。AさんTさんご苦労様でした。
普通外猫は死んでゆく姿を人目にさらさないが、ゴマは違った。なぜなら、Aさん夫婦のゴマへの強い気持ちがゴマに伝わり、ゴマは最後の力を振り絞ってAさんの前に出てきたのだと思う。ありがとうと言いたかったのだと思う。
8年前まだゴマが子猫だったころゴマはAさん夫婦の前に現れた。ゴマはびびりな性格で、決まった時間に決まった場所でAさんから8年間餌を貰い続けた。人に触らせない猫だった。
ところが最近になってゴマが現れなくなった。近所で飼われていた大きな雄猫が家を脱走し、ゴマのテリトリーをウロウロしはじめたのが事の発端だった。
飼い主は戻ろうとしない自分の猫を積極的に迎えに来る様子もなかった。去勢こそされていた猫だが、ゴマはこの大きな猫から執拗な攻撃を受けたようだ。頭や体に傷を負わされ、その猫が怖くて餌場に来れなくなっていった。Aさんは間近で攻撃されているゴマを見た。早朝は他の猫たちとも喧嘩をし、喧嘩の鳴き声がマンションの上まで聞こえた。
Aさんは弱ってゆくゴマを保護しようと決めたが、ゴマはもともと人に触らせない猫だったので、保護が簡単にできない。
おまけに衰弱し始めていて一層神経質になっていてAさんの側に来ることもなくなっていた。
毎日餌場に来ていたゴマは3日に1回、1週間に1回と「ニャンニャン」とビクビク小声で鳴きながらAさんに自分の居場所を教えた。会うたびにゴマがやつれてゆく様子が伺えたがAさんは手の施しようがなかった。最後にゴマを見たとき、ゴマは体がすっかりしぼんでしまっていた。
大きな缶詰を一缶ガツガツ平らげた。Aさん夫婦は、それを最後にぴたりとゴマにあうことができなくなった。
プロテクションケージをしかけたが、ゴマではなく、狸が入ってしまったり、この暑さの中、毎日苦戦続きだった。
私もゴマ捜しに少しだけ付き合ったが、Aさんはゴマのことで普通なら決して口を利かないご近所と口を利いた。思った以上に協力的な人が多くありがたかった。TNRの話と、Aさんの地域猫活動についても短い説明をした。ゴマを介していろんな人と知り合いになった。
すでにゴマの捕獲作戦は1ヶ月以上経過していたと思う。
13日の朝、今日はお盆だけどゴマどうしたかなぁとボーっと考えているとAさんからメールが届いた。
「昨夜12時過ぎにゴマが倒れているのを発見しました。すぐ病院へ運んだけど駄目だった。発見時、ゴマと呼ぶと
ゴマは口を動かし鳴こうとしていた。」ゴマは衰弱しきっていて、いつものニャンニャンが声にならなかったのだとわかった。だから私達も居場所がわからなかった。
外で暮らす猫の死に目にあうのは、猫にすいか割りをさせるくらいの確立だ。つまり、ぺっちゃんこになって轢かれていれば別だけど、大抵は轢かれても、力を振り絞って茂みに隠れる。何回もゴマ探しのために階段を行ったりきたりしながら、Aさんは無力感と喪失感に押しつぶされそうになっていたと思う。
ゴマを見つける前日Aさん夫婦は同じ夢を見たらしい。ゴマが元気にマンションの側を歩いている夢だったそうだ。
そこまで必死に自分のことを捜し出そうとしているAさん夫婦の気持ちがゴマに伝わらないはずがない。
亡くなって初めてゴマを間近に見た。かわいいキジトラ模様のゴマ。ゆりや菊や猫じゃらしを箱に詰めてゴマを見送った。堅くなったゴマを見ながらこの一匹の猫がどれだけAさんを頼りに生きてきたのだろうと思うと目頭が熱くなった。
私達のやってることが生き物と関係ない活動だといいと思うときがある。植樹や、緑化や廃村巡りだったらいいと思うときがある。生き物絡みは時々すごくしんどい。
ゴマは情の深い人に会えてラッキーな猫だったと思う。
ゴマ、安らかに眠ってね。AさんTさんご苦労様でした。
| ホーム |