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人間社会で翻弄する動物の視点から色々綴っています。
 成猫の譲渡について
2009年03月12日 (木) | 編集 |
野良猫活動をしていると、TNRだけでなく、そのまま保護し里子に出したいと思うときがある。
特に少し触らせてくれる成猫の場合、骨を折れば家猫として余生をおくらせてあげることができるかもしれない。という欲張りな考えが頭をよぎる。
常習的に野良猫と関る人たちはそう思うことがあると思う。

ここで気をつけないといけないことがある。
それは猫の性格と貰い手の生き物を飼うことに対する姿勢だ。

家猫として落ち着ける性格の猫かどうかを見極める必要がある。
ひょっとしたらその猫は、自分の住み慣れた縄張りでそのまま気ままな生活をする方が性にあっているかもしれない。そういう猫も結構いる。特にオス猫に多い気がする。

この1月私もお試し飼育中の猫が脱走し、大変な目に遭った。幸い戻ってきてくれたが、戻らないパターンもある。その子はその後、元いた場所に戻し、今は可愛がってくれるご近所のお宅に出入り自由な生活を送っている。今考えるとこの猫にはこの生活スタイルがあっていたのだと思う。

昨年の11月、知り合いが譲渡した猫が多治見で行方不明になった。譲渡した若いカップルは譲渡したあと車で猫を連れまわし、猫を河川敷で散歩させようとしたらいい。パニックに陥った猫はリードと首輪を外し逃げて行ったそうだ。猫は犬と違う。取り返しのつかない行為だった。

譲渡した知り合いたちはその後約3ヶ月、高速道路を乗り継ぎ河川敷に猫を探しに行ったそうだ。結局、猫はいなくなってから3ヶ月後に死んでいたのを河川敷近くにすむおばあさんが見つけたらしい。
いなくなってしまった現場は、いつ行っても猫を1匹もみかけないようなとても寂しいエリア。夜の11時から翌朝1時まで捜したこともあったようだ。

倒れて死んでいた猫はとても痩せていた。とおばあさん。チラシを貼り、2ヶ月以上に渡って聞き込みをし続けた私の知り合いたちは皆、その白い猫がおそらく譲渡した猫だと直感したらしい。亡骸はどうしたのかと聞くと
おばあさんは、その日は偶然、ゴミの日だったので猫を生ゴミ袋に入れ収集車で持っていってもらったと言ったようだ。切なすぎる。
こんな話にどうしてなるのか。

私もその猫を何度か保護先に見に行っていたので、この話を聞いたとき、忍びないのを通り越した。
缶詰の大好きなだるまのように太ったメス猫だった。毛足が長く、とてもかわいかった。私はだるまちゃんと呼んでいた。
私は、知り合いの人たちがこの若いカップルにだるまちゃんを譲渡することにずっと疑問を持っていた。
責任感のなさそうな人たちに見えて仕方なかったからだ。
結婚したら迎えに来ますから預かってくださいと言われ、ひょんないきさつから知り合いは猫を預かることにした。期間限定ならと思ったが、そのカップルは結婚しても迎えに来ず、保護してから1年が過ぎた。

ある夏、30匹の猫のトイレを一人で掃除し、餌を与える私の前で、だるまちゃんが吐いた。「あ、吐いた」と言うだけで、掃除しますという一言も無い。

ことが起きたとき、最初からあのカップルへの譲渡を反対していた私に知り合いは知らせなかった。
あの子なら掲載すれば別の縁もあったと思う。若いカップルの男性は終いには逆切れし捜しに出向いていた知り合いたちに「頼んでないのに探しに来るな」と言ったらしい。

猫の譲渡には危険が伴う。仔猫も成猫も危険度は同じだけど、大きい猫のほうがリスクが高い。
どうしても譲渡したいときは、自宅に保護し訓練をし、譲渡時には相手にケージを買ってもらうか、2週間ほどは貸し出すことを薦める。自分の気持ちと同じかそれ以上に慎重に接してくれる覚悟のある人にしかあげないほうが無難だ。でもそれを見極められるかと言われるとやはりリスクは伴う。だからお届けは必ず2人以上で行ったほうがいい。
そして、一抹の不安があるときは止めることを薦める。

幸せになってもらいたくてしたことがあだにならないように気をつけるのはだ。
あげる先の人たちの将来はわからないけど、慎重になることが望まれる。
おしゃれキャットのマリーちゃんにも似ていただるまちゃんにもっと缶詰をあげればよかったと悔やまれる。他の猫の餌まで食べてしまう食いしん坊のだるまちゃんに向かって、あんたの飼い主はいつ迎えに来るの?と言い放ったことがある。
だるまちゃんごめんね。
同じ活動をする人たちにこんな失敗は味わって欲しくない。